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【特集】ジャンプ史上、初めての日常系ドラゴン『ルリドラゴン』を語る! ~ZOOMIN編集部コラム~ #ルリドラゴン

週刊少年ジャンプに突如として現れた新連載『ルリドラゴン』。大の漫画好きの編集部Yより、独断と偏見の率直感想をお届け。

ZOOMIN編集部Yです。今回は前回コラムと同様に私の趣味である漫画鑑賞、その中でもかれこれ10年来の愛読誌である『週刊少年ジャンプ』の気になる新連載、『ルリドラゴン』について紹介します。

目次

ジャンプで連載中の『ルリドラゴン』って?

『ルリドラゴン』。週刊少年ジャンプ2022年28号(2022年6月13日 発売)より連載開始した、眞藤雅興による漫画作品です。『ジャンプGIGA 2021winter』(2021年12月28日 発売)に掲載された同名の読み切り作品を前身としています。

2022年2月に公開された読み切りのボイスコミック(声優が作中のセリフやモノローグに声をあてた動画作品)は、2022年7月現在で238万再生を記録。これはYouTubeの『週刊少年ジャンプ』公式チャンネルに投稿されたボイスコミック作品としては歴代1位の再生数を誇ります。

『ルリドラゴン』のあらすじは次のようなものです。

ある朝 目覚めるとツノが…!?
増刊「ジャンプGIGA」に掲載され、ボイスコミックがYouTubeで累計200万回再生された読切がついに連載に!
ドラゴン少女が日々をがんばらなかったり、がんばったり、やっぱりがんばらなかったり…な新連載、スタート!

週刊少年ジャンプ公式サイト 『ルリドラゴン』作品紹介ページより引用
https://www.shonenjump.com/j/rensai/ruri.html

現代の日本、どこかの街で平凡な生活を送っていた女子高生「青木ルリ」。彼女がある朝、目を覚ますと自分の頭から立派なツノが生えていた。この異常事態に驚き学校を休もうとするルリだったが、母に押し切られしぶしぶ登校する。当然、学校では騒ぎになるのだが、しかし彼女の身体の異変はツノ以外にも及んでいて……というストーリーです。

『ルリドラゴン』が人気な理由は?

では何故『ルリドラゴン』はこうも人気になったのか? 筆者がいち読者として抱いた感想としては、いわゆる「ジャンプ作品」らしからぬそのストーリー展開にあると予想します。

このストーリー展開は、既に大勢がネットで言及していますが「日常系」という漫画ジャンル、より具体的に雑誌名を上げるならば『まんがタイムきらら』や、その別冊『まんがタイムきららキャラット』にて連載されており、アニメも大人気である作品『まちカドまぞく』に大きく影響を受けていると考えられます。

「日常系」というジャンルは、そもそもがweb発祥のジャーゴンであるため確たる定義がありません。しかしそれは次のような説明で概ね説明できるでしょう。

「若い女性キャラクターたちを中心に、大きな事件や変化のないごく日常的な会話を淡々と描写する漫画作品」

『まちカドまぞく』は、その背景として「古来より続く魔族と魔法少女の戦争」というシリアスな設定を抱えているにもかかわらず、この日常系のテンポ感で物語が進むことが、従来の日常系らしからぬ読み味を出すという理由で人気を集めました。

『ルリドラゴン』もまた、上記と同様に「シリアスな背景設定」と「しかし淡々と描かれる日常」、そしてそのギャップが際立たせる登場人物たちの温かい人柄や人間関係という構造を有しています。

私が「ジャンプらしからぬ」という感想を抱くのはまさしくここが理由です。

今のジャンプでの『ルリドラゴン』の立ち位置とは?

『週刊少年ジャンプ』とは、日本の漫画雑誌でもトップクラスに競争が激しいことで有名です。その連載/打ち切りの判断に用いられる基準はたった1つ、読者アンケートの結果のみ。「面白かった作品を3つ選んでください」というアンケート項目で票を集めた作品は巻頭へ掲載され、逆に票が集まらなかった作品はどんどん後半ページへ追いやられる(ただし、一部例外もあります)という、1週間単位の過酷なサバイバルレースなのです。

この制度は各作品に「引きの強さ」を要求します。毎週の掲載ごとに「続きが気になる」と読者へ思わせる終わり方をしなければならないということです。それが新人の初連載作品ともなれば、言わずもがなでしょう。

そのためジャンプの漫画家たちは、主人公の最大目標をどこに設定するかに重きを置きます。ルフィなら「海賊王になる」、緑谷出久なら「ヒーローになる」、虎杖悠仁なら「呪いを祓いつつ宿儺を封印し続ける」、というように。この作品は主人公がその目標を達成するまでの道程であると明示することによって、読者の興味と関心を最大限に引き付け、持続させるのです。

翻って『ルリドラゴン』には、そのように遠大な目標が今のところありません。主人公のルリはドラゴンと人間のハーフであり、父であるドラゴンは今も人里離れた山奥で生きていると後に母から明かされるのですが、そのように重大な背景を明かされても描かれるのは今までと同じ学校生活、そして身体の変化をきっかけに変わっていく人間関係です。

ドラゴンとしての力を活かしたバトルも、同じような異種族ハーフとの恋愛模様もありません。しかしその読み味は、ジャンプのサバイバルレースを戦うにふさわしいクオリティに達しているという不思議な一作なのです。

もちろん今後の展開で少しずつ物語に変化がもたらされる可能性はあります。この路線が続くにせよ、変化が起こるにせよ、いま最も目が離せない作品と言えるでしょう。

おわりに

が、しかし、そんな『ルリドラゴン』は作者の体調不良により、既に2話分を休載しています。いちファンとしては、作者が直ちに体調を回復させ連載に戻ることを望んでやみません。

というわけで、本日は週刊少年ジャンプの気になる作品『ルリドラゴン』を紹介しました。ぜひ皆さんも読んでみてください。

🔽『推しの子』感想はこちら🔽


執筆:ZOOMIN編集部 Y

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