アニメ化も発表され今大注目の『【推しの子】』。大の漫画好きの編集部Yより、独断と偏見の率直感想をお届け。
ZOOMIN編集部 Yです。
私は雑誌で漫画を読むことを趣味としており、毎週どの曜日でもほとんど、購読している漫画雑誌の更新を楽しみにしています。
「次に来るマンガ」として注目を集めているあの作品
今日7月14日(木)は集英社の青年コミック誌、週刊ヤングジャンプの発売日。実写映画化もされた『キングダム』、『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』、つい最近に完結を迎えた作品としては『ゴールデンカムイ』など、大人気作品には事欠かないこの連載陣ですが、そんな中で「次に来るマンガ」として注目を集めている作品が1つあります。
それこそが『【推しの子】』。上記の『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』の作者である「赤坂アカ」が原作を務め、『クズの本懐』などで知られる「横槍メンゴ」が作画を担当する分業体制の漫画です。
先日アニメ化も発表され注目を集めている『【推しの子】』について、私の独断と偏見に基づき感想を書いていきます。
実際、本当に面白いの?
さてこの『【推しの子】』、面白くはあるのですが、しかし素直に人に勧めるのにはためらいがあります。なぜかと言えばこの漫画、とにかく1話あたりの面白さのブレが激しいのです。
この漫画のどこに面白さを見出すのかは人それぞれでしょう。しかし私個人としては、『かぐや様』では見られなかった
- スピーディーで引きが強い(来週の続きが気になる)展開
- 必要十分な範囲に抑えられたキャラクター描写
- 復讐や芸能界の闇を巡るダークでシリアスなストーリー
こうした要素に期待していました。
私のこの要望は、数週間に一度、ふと思い出したかのように叶えられ、そしてまた数週間~数ヶ月、面白くないわけじゃないんだけど、別に来週から読めなくなっても困らない……そんな時間が続きます。
復讐劇でありサスペンス。けれど……
詳細は割愛しますが、『【推しの子】』の本筋は復讐劇でありサスペンスに類します。しかし原作者の意図は復讐劇を描くというよりも、むしろ 『かぐや様』のように日常コメディをできる限り長く描くことにある。復讐劇というのはあくまでも遠大な目標であり、ちょっとずつ話が進んでいけばそれでいい。正直なところ、ここ2~3か月の展開からはそのように呆けた印象を受けてなりません。
要するに、話運びがそこそこの頻度で散漫になるのです。打ち切られることはないという自信の表れなのか、1週間あたりの情報量と進展にはバラつきがあります。個人的には週刊連載でこのスタンスは好ましくないと考えますが、この自説を開陳すると『【推しの子】』の話題からは大きく離れるので割愛します。
ここ最近では「姫川との親交を深めるのが目的の2.5次元舞台編に、あそこまで話数を割く必要があったのか?」とも思ってしまいました。
『チェンソーマン』のようにタイトでスピーディーな話作りや、『ザ・ファブル』のように重厚かつ壮大な積み重ねを知ってしまった読者としては、日常SSがひたすら続く展開にはどうしても退屈してしまいます。
オススメはやっぱり単行本
と、ここまで苦言を呈する形になってしまいましたが、少なくとも単行本で一気読みする分にはとても面白く読めるのではないかと考えます。
もしこれを読んでくださっている方の中に、『【推しの子】』を手に取ってみようと思ってくださった方がいるなら、ぜひ単行本での購読をおすすめします。
長くなってしまったので今回コラムはここまでとします。もしよろしければ次回も暇つぶしに読んでくださるとありがたいです。

執筆:ZOOMIN編集部 Y